ネガティブなことはポジティブに捉えるー塞翁が馬

こんにちは、作家のれおんです。

今回は、「人間万事塞翁が馬」というお話です。

 

何をやってもうまくいかない…そんなとき、自分だけ不運が続いているように感じてしまうことはありませんか?プロジェクトの失敗や上司からの叱責、希望していたポジションに採用されないことなど、仕事における苦境は少なくありません。人は一度落ち込むと、「不幸が永遠に続く」「どうせ自分はツイていない」と決めつけてしまいがちですが、実は物事は簡単に決まるものではありません。

そこで思い出したいのが中国の古いことわざ「塞翁が馬(さいおうがうま)」です。

「塞翁が馬」の意味と由来

塞翁が馬という言葉の意味は「人生の幸・不幸は予測できない、何が良いことか悪いことかわからない」というもの。また「幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるかわからない」という解釈もあり、安易に喜んだり悲しんだりすべきでないという教訓を含んでいます。

このことわざは前漢時代の思想書『淮南子(えなんじ)』にある物語が由来です。国境近くに住む老人(塞翁)の馬が逃げたとき、近所の人は不幸だと思って慰めに来ますが、老人は「これが幸福につながるかもしれない」と動じません。その後、逃げた馬は立派な馬を連れて戻ってきて人々は喜びますが、老人は「これが災いになるかもしれない」と言います。さらに老人の息子が新しい馬から落ちて足を骨折したときも、老人は「これが幸運を呼ぶかもしれない」と構えます。結果的にその戦争で徴兵免除となり命が助かるという一連の出来事から、「災い転じて福となす」という教訓が生まれました。

現代でも「人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)」としてよく知られ、著名人の座右の銘になることもあります。たとえばノーベル賞受賞者の山中伸弥さんや芸人の小藪千豊さんなど、多くの有名人がこの言葉を大切にしていると伝えられています。要するに「良いことにも悪いことにも一喜一憂せず、長い目で見るべき」という含意があるわけです。

「塞翁が馬」で前向きに

では、実際にこの考え方を仕事にどう活かせるでしょうか。塞翁が馬という考えによって得られるのは“柔軟な心構え”です。予想外のトラブルが起こっても、「長い目では逆にいい結果になるかもしれない」と考えられるようになります。例えば、ある新規プロジェクトが失敗に終わって落ち込んだとしても、その経験から得た教訓が後の成功につながるかもしれません。実際、Forbes JAPANの記事でも「プロジェクトが最初は失敗に見えたが、その経験が後の成功に繋がった。まさに『塞翁が馬』だ」と具体例が紹介されています。

直感的には「不幸」に思えても、結果的に良い方向に働いた事例は身近にもあります。たとえば、予定していた電車に乗り遅れたことでタクシーを使う羽目になった人が、そのおかげで大きな人身事故を回避し重要な商談に間に合ったというエピソードは有名です。まさに「不運が幸運に転じた」体験です。

もっと身近な例では、ある会社員の話があります。所属部署が廃止され、別部署への異動を余儀なくされました。当初はがっかりしたものの、結果的に異動先での経験が評価されてキャリアが開けました。「あのときは選択ミスだと思ったが、今振り返れば良い選択肢だったのかもしれない」と本人は言っています。こうした経験もまた、塞翁が馬の「一見悪いことがチャンスになる」という教えそのものです。

 

さらに、著名な経営者の言葉からも学べます。アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、会社から解雇された経験を振り返り「Appleから解雇されたことはこれまでで最良の出来事になった。おかげで私は人生で最も創造的な時期に解き放たれたのだ」と述べています。まさに事業から退いた“不運”が、新たな道を切り開く転機となったのです。

 

まとめ

「塞翁が馬」思考のメリットは以下の通りです。

 

変化に柔軟になれる。 予期せぬ出来事にも「何が起こるかわからない」と冷静に受け止め、柔軟に対応できます。

一喜一憂しない。 目先の失敗を必要以上に嘆いたり、ちょっとした成功に浮かれすぎたりせず、落ち着いて状況を見極められます。

長期的な視点を持てる。 今の出来事が将来的にどう影響するかに思いを巡らせ、短期的な善悪にとらわれない判断ができるようになります。

 

「塞翁が馬」は単なるポジティブシンキングではなく、「安易に運命を決めつけてはならない」という警句でもあります。つまり、良いことも悪いこともいったん冷静に受け止めたうえで、本当に価値あるものを見極めようという心構えです。

辛い状況に陥ったときこそ、この「塞翁が馬」の精神を思い出してみましょう。一時の不運にめげず、「いずれ幸福に転じるかもしれない」と希望を持つことで、かえって前向きな行動ができるものです。仕事で厳しい局面に立たされたときには、ぜひ「人間万事塞翁が馬」と唱えてみてください。やがて今回の苦境も自分を成長させる糧となり、大きな成功へとつながるかもしれません

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